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機器の違いと画像診断科
熱中症アラートが連日でていますね。
夜は比較的涼しい北条ですが、ここ数日は蒸し暑い夜が続いています。
ご自宅のコたちの様子がいつもと違うな、と感じたら、些細なことでも相談してくださいね。
いつもご愛読ありがとうございます、受付の髙橋です。
今日は、松山ほうじょう動物クリニックの画像診断について少し触れてみたいと思います。
診察中、先生から、とった画像を見せてもらいながら説明を聞いたことがある飼い主さんも多いと思います。
先生たちは、どんな機器を使って動物たちの体の中をどんな風にみて、どんな診断をしているのでしょうか?
クリニックには超音波(エコー)・レントゲン・CTと、3つの画像診断のため機器があります。
それぞれ、光や音の力を使って、体を切らずに体の中をのぞいています。
まず『超音波検査』
名前の通り、”音”の力で体の中を見ます。
Echo:「反響」ですね。原理はやまびこと同じです。 落ち着いて考えると理解できるのですが、改めて”「音」で画像をみてるんだよ”と教えてもらって、 「え、そうなの?」と驚いてしまいました。 (体に機器を押し当てられてグリグリされるもの=エコー検査、だと思っていたので…。)
体にグリグリ押し当てる部分を「プローブ」というのですが、ここから人間には聞こえない音波(超音波)がでています。それを体にあてて、跳ねかえってきた音をコンピュータが画像で表しています。
エコー検査前に、先生から絶食をお願いされる場合、ガスが溜まったり、消化液のせいでうまく体の中を覗くことができないことがあるためです。 プローブを当てた部分しか見ることができないため、少しずつプローブの角度や位置を変えながらみています。(これがグリグリされる理由です)
画像を見ながら、「お腹に水が溜まってる」「臓器が大きい」「血管が詰まっている」などを判断しています。
次に『レントゲン検査』
放射線という強い光をあてて、体の中を見ています。仕組みは影絵と同じ。
光を通すもの、通さないものが体の中にあって、それを映し出しています。
誤飲を理由に受診された場合、物によっては映らない可能性もあります。
レントゲンにも弱点はあって、一方向の平面図でしか画像を捉えられないため、立体での画像の把握が難しいそうです。 ですので、体の前から撮ったり、横から撮ったりしながら立体的に全体像を把握します。
骨折などはわかりやすいですが、体内異物や、臓器の大きさの異常なども確認することができます。
レントゲンで全体像を把握して、エコーで、問題が部分を具体的に見ていることが多いようです。
そして『CT検査』
ドーナツ状の輪の中には、レントゲンと同じように光を当てる機器と画像を受け取る機器が入っています。 様々な角度から一気に画像を残し、ベッドが動いていくことで数千枚の画像を残しています。 パノラマ撮影のようなイメージです。
レントゲンやエコーに比べ、立体的に形を把握することができ、血管をわかりやすくするために印をつけることもできます(血管造影)。 これにより、血管の通り道がしっかり把握できるため、どの血管を残すかの判断や、腫瘍にある血管の有無によって、診断や手術計画を立てやすくなります。
パノラマ写真を撮られたことがある方にはわかりやすいと思うのですが、少しのブレが、画像のブレにもなりますよね。 一度に数千枚も画像を撮影し、ベッドも動くため、動物たちに「動かないで!」というのは、どんなに大人しい子でも不可能です。
そのため、全身麻酔をかけて撮影を行なっています。
レントゲンのように、来院していただいた当日に撮ることができないのは、麻酔リスクに耐えられるかを判断する検査を行う必要があるからです。
麻酔には嘔吐してしまうような副作用もあるため、必ず絶食で来院いただいています。
このような機器を使いながら、動物たちに起こっている問題を調べ、診察しているクリニックの先生方。
そして、画像診断のスペシャリストで、米国獣医放射線科専門医の村上正紘先生にも画像診断についてのお力をお借りしています。
アメリカ在住のため、外来診療としてクリニックに来ていただくことはないのですが、画像がデータのため、北条で撮った画像をアメリカで診断していただくことができます。
例えば、「肝臓が大きい」と画像診断をした場合、考えられる病気がたくさんあります。
そのたくさんある候補の中から、専門の先生は「肝臓のこの部分が大きいから…」と更なる絞り込みをかけることができます。 そのことで、早期の発見につながったり、対処することができます。
そのことで、また他の専門外来の先生に相談することができたり、逆に、他の専門外来の先生から画像診断科への相談を勧められることもあります。
大きな図書館の中で、地図もない中で探し出すのは難しいですよね。
闇雲に探し回るより、司書の方に尋ねた方がより探し出すのが早くなります。
他の外来の先生とは違い、クリニックに来てくださる皆様とはお会いする機会もないのですが、(私もまだお会いしたことはありません)、愛媛の動物の困りごとを解決していく上で、欠かせないお力です。